REIONレポート
 Vol.2 – 千丑茶屋

REIONレポート第二弾は、2017年5月に国立市谷保にオープンしたレストラン「千丑茶屋」。農家だった古い自宅をリノベーションした同店は、地元の野菜をふんだんに使った料理が早くも話題となり、連日多くのお客様が訪れています。真新しい店内でのREIONのありようや使い勝手などについて、オーナーの遠藤久さんにうかがいました。

9代続く農家が始めた
地元野菜を味わえるレストラン

 昔から自然豊かで農業が盛んな東京都国立市谷保で、農家が母屋をリノベーションし、2017年5月に「千丑茶屋(ちうしちゃや)」をオープンしました。オーナーの遠藤久さんは、「昔、このあたりは乳牛用の牛を飼っている農家が多かったんです。だから集落名が“千丑”。うちも含め、今でもたくさんの農家があります」と教えてくださいます。
 代々この地で農業を営んできた遠藤家は、長男の久さんで9代目。みずからも生まれ育った母屋をこのようなレストランにした理由は、「地元を盛り上げたくて」。千丑茶屋は、遠藤さん兄弟が中心となって切り盛りされています。
 シェフは、立川駅前の老舗イタリアン「SAVINI」を経て、多摩市にある桜ヶ丘カントリークラブのレストランで料理長を務めた三男の克典さん。キャリア30年以上の確かな腕で、地元野菜を絶品イタリアンに仕上げます。厨房には石窯もあり、強い火力で一気に焼いた手作りピザが人気を集めています。
 同店で使う野菜のほとんどが地元産。遠藤さんは、自分の畑で獲れた野菜のほかに、幼馴染みの農家数軒から毎日仕入れているのだとか。
 「市場に出せないような曲がった野菜でも味は遜色ないですし、なにより新鮮で美味しい。地元の農家を活性化しながら、多くのお客様に国立市の野菜の魅力を伝えたいですね」

古民家の良さを残しながら
居心地の良い店内に改装

 お店を始めるにあたり、古民家を改装したカフェやレストランなどをいくつか見てまわったという遠藤さん。「靴を脱いで入るタイプの店が多く、気軽さに欠けるような気がした」といいます。
 そこで、建築家と半年以上かけて構想を練り、新旧のいいとこ取りでリノベーションを実施。土足で気楽に入れて、モダンなインテリアが並んでいながら、古くて味のある梁や柱なども生かされており、どこか懐かしい雰囲気が漂っています。
 街道に面した庭をあえて残し、縁側のようなテラス席を設けたのも特徴的。店の裏には蔵や稲荷も現存。蔵は、今後パーティールームなどとして活用していきたいのだそうです。
「開放感のある空間にしたかったので、天井は高く、窓は極力大きくしてもらいました」と遠藤さんが話すように、店内にいても庭との境目を感じないほど視界が開けています。そして、曇りの日でも店中に自然な明るさが満ちています。そんな店内で、REIONが設置されているのは、客席から見える厨房のカウンター。圧迫感や違和感はなく、マットなホワイトのボディが明るい店内空間にすっとなじんでいます。

心地良いサービスを追求
試行錯誤の毎日

 千丑茶屋では、ショップカードやスタッフのエプロン、内装の雰囲気にあわせてブラウン系のおしぼり「プティショコラ」をご使用いただいています。
 「チーズやピザなど、手でつかんで食べるメニューが多いので、しっかり拭けるおしぼりを出そうと思いました」と遠藤さん。現在は、冷/COLDモードで使用中ですが、季節に応じて温のLOWモードやHIGHモードへ切り替えていく予定だといいます。
 通常、飲食店であればおしぼりを出すのは当たり前のこと。しかし、それがなかなか難しいのだそう。
「当初、若い女性スタッフの中にはビニール袋を少し外して、すごく丁寧に手渡す人もいました。でも、僕みたいなおじさんスタッフがそこまでやったら、ちょっとやりすぎじゃないですか? ほどほどが難しいですね」
 遠藤さんが話すように、サービスは人によって受け取り方がさまざま。おしぼりの渡し方ひとつ取っても、加減が難しいのが現実です。
「今はビニールをつけたまま提供しています。ただ、テラス席の場合は、外したビニール袋が飛んで行ってしまうこともあるので、あらかじめ袋を外してプレートにのせて出しています」

親戚の家に遊び来たような
くつろげる空間を目指して

 実は千丑茶屋の裏手あたりは、当社FSXの最初の工場があった場所。そんな地で始まった新しいレストランでREIONが採用されているのは、不思議な縁が感じられます。
 地域に密着する同店には、オープン当初は近所の方が多く来店されたものの、ネットニュースに取り上げられたことで問い合わせが増加。遠方から来られるお客様も増え、10台停められる駐車場もフル回転だそう。そんな同店では、REION本体はレンタルではなく購入したものをお使いいただいています。
「おしぼりは当初、週250本をレンタルしていたんですが、足りなくなってしまい、今は400本に増やしました。おかげさまで、たくさんのお客様が来店してくださっています」
 最後に、今後どのようなレストランにしていきたいのかを尋ねると、「誰でも気軽に入れる店にしていきたいです。郊外の親戚の家に遊びに来たような感覚で、リラックスしながら美味しい野菜をたくさん食べていただきたいですね」と遠藤さんは笑顔で答えてくださいました。